紳士服は仕事では作りませんが、プライベートでT氏に頼まれて作っています。
去年作ったシャツは、かなり着込んでくれたようでけっこうヨレてきました。
そして「何故こんな所にシミ?」と言いたくなるようなヨゴレまでつけていただきました。
なので新しいシャツを、とのことで、今度は細かい格子柄。
先日、日暮里に行くのにT氏に付いて来てもらった際、
「シャツと、コートと、ジャケットが欲しい」と頼まれて生地を買っていたのです。
着せているボディが女性の身体なので、なんとなくフェミニンな雰囲気がしますが、
実際はちゃんとした男性ものです。
ボタンホールを空ける際に、
「ひょっとしてシンプルに白糸で空けるよりも、派手な色がいいかな」
と思ってT氏に問い合わせた所、
「是非、色付きで」
とのこと。
そしてそこから長い長い打ち合わせが始まる。
あれでもない、これでもない。
とかれこれ三日、悩み続けています。
わざわざ赤い糸を買いに行くも、やはりそれでは納得できず、私の持っている赤系の糸を片っ端から試す。
結局糸は今日決まったのですが、どの部分のボタンホールを赤色にするかの結論がまだ出ず、
明日決定する予定です。
(ボタンホールを空けるミシンが片付かないので、早く決めて頂けるとありがたい)
傾向として、女性より男性の方が服の依頼をする際、細かい気がします。
ソクラテスが言うように、『選択肢が多いほど人は不幸になる』のです。
(というのはウソです。ソクラテスはそんなこと言いません)
昔読んだルソーの『エミール』の中で
「幼少期に子供の要求を満たしすぎると、子供の要求は大きくなり、やがて満たされない事が多くなり本人が不幸になる」とルソーおじさんが言っていました。
私自身は幼少期、物質的な物への執着があまりなかったのですが、
最近の異常なほどの子供向けの消費システムを我が子が無視できるように育てられるかが勝負です。
今日、T氏の冬用のコートのあらましができました。
ボタンをまだ用意していないので、日暮里のボタン屋さんへ行く必要があるのです。
あともう一着、ジャケットを作らねば。明日からかかりますよ。