空気を読まない

 寝ている娘があまりにも可愛いので、私はいつも、娘の表面の頭の先から爪先を取り巻く、もっとも娘に接している部分の空気になりたいと思うのである。


そんな可愛い娘の下瞼に、腫れ物ができた。

上目遣いにならない限りわからないような、小さな。


普通のものもらいと様子が違う。


大きな病気だったらどうしよう・・・

と土曜日の夜中から不安になった。

月曜日、満を持して眼科へ。


ものもらいの一種、霰粒腫(サンリュウシュ)なるできものであった。


その夜のことである。「自分にこんなのできても、気づきもしないや。化粧もしないし鏡も見ないし〜」と無法地帯の自分の顔を、久々に鏡で見た。

できている。娘と同じ右目の下瞼に、同じ出来物がっっっ!!!!

自分の目だと眼科に行くのも面倒なので、市販で目薬を買ったが、娘がお医者で処方してもらったステロイド系は市販では売っていないようだ。(ありがたいことに、横浜市では子供の医療費が無料!!)



さて、娘は本当に可愛いのだが、目薬を嫌がる。

毎日3回点さねばならないのに、一度点すのに20分。

「怖い気がする」「痛い気がする」「しみる気がする」と。

せっかちな私は腹が立った。本当に腹が立つ。麻酔銃で眠らせて目薬を点したいくらいである。


そして「あと10秒以内にささないなら絵本も無しだ!もう知らんわ!!」と娘と喧嘩別れをした。

それ以降、娘が「お父さんに目薬をさしてもらうと痛くない。お母さんがやると痛い」と言い出し、私を拒絶するようになったのだ。



ちなみに、私が「絵本は無し!」と言い放った夜。

娘は『学校の怪談』の本を1人で開いて目次を読みながら「ああ、たまちゃんは早くスラスラ自分で本を読めるようになりたいよ」と言いながら、拗ねていた。

かわいそうで結局『学校の怪談』を読んであげた。


しかし私はその日、娘の周りの空気には、なりたいと思わなかった。