生き地獄

天国のお箸は150cmくらいあるらしい。
だから一人で食べたいものを食べることは出来なくて、隣の人に食べさせてもらうらしい。
そしてお互いに長いお箸で仲良く食べさせ合うのだ。

地獄のお箸も長いらしい。
でも地獄に住む者は、隣人に優しい心を持っておらず、結局食べさせ合うことができずにご馳走を前に空腹のままなのである。



家の前で、娘とシャボン玉をしていたのだが、娘が長い柄の虫取り網で、私の吹いたシャボン玉を捕らえようとする。
しかし柄が長すぎて、娘の近くにあるシャボン玉が取れないのだ。

なので娘と「なんか天国のお箸みたいだねー」と話していた。



すると娘が「でもお母さんは、今でも天国にいるようなもんだよね」と言い出した。

「だってお母さんには可愛い娘がいるし、おいしいご飯も食べられるでしょ。ご飯はお母さんが作ってるんだけどさ」

そうか。私は『生き天国』にいるのか。
しかも食べたいものを短い箸で好きなように食べられるし。


私はゆくゆくは天国に行きたいが、あのお箸のシステムだけは解せない。
やっぱり、好きなものを好きなペースで食べたいのである。